POLICY.
POLICY01
設計にあたって大切にしていること
私が目指すのは、使い続けるほどにどんどん愛着が増すような、長く愛される建物を設計することです。建物がそこにいる人の生活の器であることは、言うまでもありません。そして、人も生活も、ひと時として同じということはありません。1日、1年、10年、それぞれの長さで、時間とともに常に変化し続けるものです。建物は、そういった時間の流れに耐えうるものでなければ意味がありません。
現在、物理的にはまだ使える日本の住宅の多くが20~30年で取り壊されてしまうのはなぜでしょうか?消費財のように扱われ、使い手の要求に合わなくなれば壊して新しく建て替えられているのです。もちろんほかにも原因はありますが、その建物にそれだけのエネルギーがないことが挙げられるでしょう。そして何より、私がその建物を“その程度”のものと見ているからではないでしょうか?
そうではなく、手入れをし長く使い続けたいと思えるような、長く愛される建物である必要があると考えます。それは、地球環境負担を減らすことはもちろん、毎日の暮らしがより楽しく、より豊かになると思うのです。同時に、そういった時間の積み重ねを大切にする気持ちこそが、文化なのではないかと考えています。
POLICY02
住まいは「第三の皮膚」
“第一の皮膚としての身体と、第二の皮膚である衣類の延長上に「第三の皮膚」である住まいがある”――環境先進国ドイツのバウビオロギー(建築生物学)というエコロジー建築の考え方です。身のまわりが何で囲まれているか、ということがいかに心身に影響を与えるか。多少の差はあれど、どなたでも日々実感されることだと思います。
真夏の容赦ない太陽に照らされたアスファルトとビルの間で息絶えそうになりながら、ようやく公園の木陰にたどりついたとき。開け放した窓からの風を感じつつ、タタミに頬をつけたままうたた寝するとき。そういう素直な身体感覚を大切にしたいと思っています。
建築素材については、できる限り以下のような基準に照らして選択しています。
●資源が枯渇することのない再生可能な素材であること
●化学物質を含まない素材であること
●調湿性能の優れた素材であること
●空気中の汚染物質を吸着する素材であること
また、快適な「第三の皮膚」を設計するにあたり、次のことを大切にしています。
●風の通り道をつくる
●冬の太陽を味方にして夏の太陽を遮蔽すること
●敷地の緑化を建物と一体的に計画すること
●建物の配置と開口部の位置、大きさ
●断熱性能
POLICY03
豊かな空間
これは難しい言葉です。「豊かな空間」というときの「豊か」とは何でしょうか?もちろん、高価な材料を使っているとか、ただ部屋が広いとか、天井が高いとか…ということではありません。いろいろな考え方があると思いますが、私は「ひとつの結論がたくさんの意味を包み込んでいること」だと解釈しています。「豊かな地球」や「豊かな生態系」といったときに意味する「豊か」と近いです。
建物はひとつの結論です。いろいろな要因を突き詰めて導き出された一つの形です。私が考える「豊かな空間」というのは、例えば次のようなことです。
●一つの場所が時間や季節や角度や人によっていろいろな表情に見えること
●一つの場所がいろいろな機能を持っていること
●重なり合ったたくさんの空間の広がりやまとまりがあること
なんだかわかりにくいかもしれません。言い方を変えれば、そこにいて居心地がよく、居場所がたくさんあり、飽きず、楽しい。そんな建物になるよう、心がけています。
POLICY04
場所に息づく
「その場所がそんなに美しい場所だったとは、そこに建物が建つまで誰も気がつかなかった」という、とても印象的な言葉があります。恐縮なことに出典がうろ覚えなのですが、建築家フランク・ロイド・ライトの言葉だったと記憶しています。
例外もありますが、建物は基本的に、土地の上に建つものです。その場所の気候や自然環境はどんなものか。どんな文化や習慣のあるところなのか。その土地は木々に囲まれているのか、崖の上なのか、密集した住宅地なのか。どんな建物に囲まれているのか。そういった場所の特性によって、当然どんな建物がふさわしいのかは変わってくると考えています。
建物を使う人、そして通りかかった人からも、冒頭のような言葉が聞けること。そんな目標を胸に、設計に取り組んでいます。
PROCESS
仕事の流れ
FAQ
よくあるご質問
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